7月15日は、久保田利伸が日本のR&Bをポップのど真ん中へ運んだ軌跡を聴きたい

7月15日は、久保田利伸が日本のR&Bをポップのど真ん中へ運んだ軌跡を聴きたい

7月15日は、久保田利伸の誕生日。日本のポップスが海外のブラック・ミュージックから強い影響を受けながら独自の形を作っていった流れを振り返るとき、この人の存在はやはり外せない。歌の巧さだけではなく、R&Bの感覚を日本語のポップスとして成立させた仕事の大きさを、今日はあらためて聴き返したい。

久保田利伸が示した、日本語で鳴るR&Bの可能性

久保田利伸は1962年7月15日生まれ。1986年にシングル「失意のダウンタウン」、アルバム『SHAKE IT PARADISE』でデビューし、以後「TIMEシャワーに射たれて…」「You were mine」「LA・LA・LA LOVE SONG」などの代表曲で広く知られるようになった。1980年代後半から1990年代にかけて、日本のポップスのなかでソウルやファンク、R&Bの手触りをここまで自然に響かせた歌手は多くない。強いグルーヴ感を持ちながら、日本語の言葉運びを崩さずに成立させた点が、久保田利伸の大きな発明だった。

J-POPの歌い方と制作感覚を更新した存在

久保田利伸の意義は、ヒット曲の多さだけでは測れない。フェイクやリズムの置き方、声の跳ね方といったR&B由来の表現を、日本のメインストリームに本格的に持ち込んだことで、その後の男性シンガー像や制作の基準に大きな影響を与えた。セルフ・プロデュースの感覚も鋭く、ダンサブルな曲でもバラードでも、歌そのものが楽曲の中心に居続ける。J-POPが洋楽志向をただ模倣で終わらせず、自前のポップスとして消化していく過程で、久保田利伸は明確な道筋を作った一人だった。

今日聴くなら

今日はまず「LA・LA・LA LOVE SONG」で、メロディーの親しみやすさとR&Bの洗練が同居する感覚を味わいたい。さらに初期曲の「TIMEシャワーに射たれて…」や「You were mine」までたどると、都会的なアレンジのなかで声がどれだけ自由に躍っているかがよくわかる。7月15日は、日本のポップスがグルーヴという言葉を本気で自分のものにしていった、その決定的な足跡に耳を澄ませる日にしたい。