7月1日は、ウォークマンが日本の音楽の聴き方を変えた日を振り返る

7月1日は、ウォークマンが日本の音楽の聴き方を変えた日を振り返る

7月1日は、1979年にソニーのウォークマン初号機「TPS-L2」が発売された日だ。日本の音楽史を振り返るとき、名曲や名盤だけでなく「どう聴かれたか」を変えた出来事も見逃せない。ウォークマンは、音楽を家のステレオの前で聴くものから、街へ、通学路へ、電車の中へ連れ出した。あの小さな再生機は、日本のポップカルチャーの風景そのものを更新した存在だった。

1979年7月1日、音楽は“持ち歩くもの”になった

ソニーは1979年7月1日、カセットテープ再生機「ウォークマン」初号機TPS-L2を発売した。それ以前にも携帯型ラジオや録音機はあったが、ウォークマンのインパクトは、録音よりも“個人が好きな音楽を外で聴く”体験を前面に押し出した点にあった。ヘッドホンで自分だけの音世界に入るという感覚は、当時としてはかなり新しかった。70年代末は、日本のポップスがニューミュージックや歌謡曲、ロックを横断しながら広がっていた時代でもある。そうした音楽が、リビングの大型オーディオだけでなく、通勤通学や散歩の時間にまで入り込んでいく転機として、7月1日のウォークマン発売は象徴的な出来事だった。

日本のリスニング文化とポップスの距離を一気に縮めた

ウォークマンの登場が大きかったのは、音楽との距離感を変えたことだ。レコード店で買ったアルバムを家で大事に聴く、という楽しみはもちろん残りつつ、好きな曲をカセットにまとめて持ち歩く習慣が広がった。80年代に入ると、シティポップやアイドル歌謡、バンドサウンドなど、生活のBGMとして繰り返し再生される日本の音楽がさらに身近になっていく。景色の中に音楽を重ねる感覚、いわば“自分の映画のサウンドトラック”のような聴き方は、ウォークマン以後にぐっと一般化したと言っていい。再生機器の変化が、ヒット曲の受け止められ方や、アルバムの編集感覚、さらには「持ち運びたくなる音楽」への意識にまで影響した点で、これはれっきとした日本音楽史の一場面だ。

今日聴くなら

今日はまず、70年代末から80年代初頭の日本のポップスをカセット感覚で並べて聴きたい。たとえばYMOの洗練、山下達郎の都市的なグルーヴ、大滝詠一の緻密なポップスは、移動中に聴くことでまた違う輪郭が立ち上がる。家のスピーカーで味わう良さとは別に、ヘッドホンで聴くと一気に自分の時間へ引き寄せられる曲が多い。7月1日は、ウォークマン初号機TPS-L2の発売をきっかけに、日本の音楽が“どこででも聴けるもの”へ変わっていった感覚を、あらためて体験し直す日にしたい。