6月24日は、美空ひばりという大きすぎる歌声をあらためて思い出す日

6月24日は、美空ひばりの命日。日本の歌謡史を振り返るとき、この名前を避けて通ることはできない。戦後の大衆音楽がどんな声を求め、どんなスターを夢見たのか。そのひとつの完成形が、美空ひばりだった。
9歳でデビューし、戦後日本の歌謡界を象徴する存在になった
美空ひばりは1937年生まれ。幼いころから並外れた歌唱力で注目され、9歳でデビューした。その後は歌手としてだけでなく、映画や舞台でも活躍し、戦後の日本で圧倒的な知名度を持つ国民的スターへ成長していく。美空ひばりの凄みは、単にヒット曲が多いことではない。民謡、歌謡曲、ジャズのニュアンスまでのみ込みながら、どんな楽曲でも自分の歌にしてしまう表現力があったことだ。可憐さ、豪快さ、哀しみ、色気を1曲の中で行き来できるスケール感は、いま聴いてもやはり特別である。
「川の流れのように」へ至るまで、歌そのものの説得力を更新し続けた
美空ひばりの長いキャリアには、「悲しき口笛」「東京キッド」「リンゴ追分」など、時代を映す代表曲がいくつも並ぶ。歌謡曲がテレビとレコード産業を通じて大きく広がっていく過程で、美空ひばりは常に中心にいた。そして晩年に発表された「川の流れのように」は、その存在の大きさをあらためて印象づける1曲になった。技巧が前に出るのではなく、人生の重みそのものが声に宿っているように聴こえる。その説得力こそが、美空ひばりを単なる昭和のスターではなく、日本のポピュラー音楽史全体の基準点にしている理由だろう。
今日聴くなら
今日はまず「川の流れのように」を聴きたい。美空ひばりという表現者の到達点が、もっとも静かに、そして深く伝わるからだ。そこから「リンゴ追分」で歌い回しの豊かさを味わい、「東京キッド」で戦後のポップスターとしての輝きを確かめる流れもいい。6月24日は、日本の歌がどこまで人の感情を背負えるのかを、美空ひばりの声であらためて確かめたくなる日である。