5月23日は、Eveがネット発の感性をJ-POPの現在地へ押し広げた流れをたどりたい

5月23日は、Eveがネット発の感性をJ-POPの現在地へ押し広げた流れをたどりたい

5月23日は、インターネット発の音楽が一時的なブームではなく、日本のポップミュージックの本流そのものを更新してきた流れを思い出したくなる日だ。Eveはその象徴的な存在のひとりで、ネットの匿名性や自由さを保ちながら、アニメ主題歌や大型会場のライブまで表現の射程を広げてきた。

5月23日は、Eveの歩みからネット発アーティストの転換点を考えたい

Eveは5月23日生まれのシンガーソングライター/ミュージシャン。2009年頃からインターネットを中心に活動を始め、歌い手カルチャーとボカロ以後の感性を横断しながら支持を集めてきた。さらに2016年には自身で作詞作曲を手がけた初の全国流通盤『OFFICIAL NUMBER』をリリースし、ネット上の人気だけでは終わらない本格的なキャリアへ踏み出している。個人発信から始まった表現が、作品性を保ったまま広いリスナー層へ届くようになった流れを、日本の音楽史のひとつの節目として見るなら、5月23日はかなり象徴的な日付だ。

アニメとMV時代のJ-POPに、新しい届き方を持ち込んだ

Eveの重要さは、楽曲単体の強さだけでなく、届け方そのものを更新した点にもある。インクス・トゥエンターのプロフィールでも、代表曲として「廻廻奇譚」や「ファイトソング」が挙げられ、作品ごとに異なるクリエイターと組んだアニメーションMVが高く評価されてきたことがわかる。顔や私生活を前面に出すのではなく、楽曲、映像、キャラクター、世界観を束ねて作品として成立させる手法は、SNS以後の音楽リスナーの感覚と強く結びついた。しかもそれはニッチに閉じず、アニメ主題歌や大規模ツアーを通じてJ-POPの中心にまで接続された。ネット発アーティストが“周辺”ではなく“現在地”になったことを示すうえで、Eveの存在は外せない。

今日聴くなら

今日はまず『OFFICIAL NUMBER』に戻って、歌い手文化の延長線上からソングライターとしての輪郭が立ち上がる瞬間を確かめたい。そのうえで「廻廻奇譚」や「ファイトソング」を聴くと、Eveが持つメロディの吸引力と、映像時代のポップスとしての設計の巧さがよく見えてくる。親密さと匿名性、ポップさと少しの不穏さを同居させる感覚は、まさに今の日本のネット発音楽の強みそのものだ。5月23日は、Eveの誕生日をきっかけに、その広がり方をあらためてたどってみたい。