5月17日は、Every Little Thing初期の輪郭を作った五十嵐充の仕事を聴き返したい

5月17日は、Every Little Thingの初期サウンドを思い出すのにちょうどいい日だ。90年代後半のJ-POPを振り返ると、歌そのものの強さだけでなく、打ち込みと生楽器のバランス、切なさを前に押し出すコード進行、そして耳に残るサビの設計まで含めて時代の空気を作った制作者がいる。その代表例のひとりが、5月17日生まれの五十嵐充である。
1969年5月17日、五十嵐充が生まれる
五十嵐充は1969年5月17日、神奈川県横浜市生まれ。幼少期からエレクトーンに親しみ、のちにギターも経験しながら音楽の基礎を広げていった。1990年代前半にはエイベックス周辺で制作の経験を積み、1995年には後にEvery Little Thingのボーカルとなる持田香織の声を使ったデモ制作を担当。その流れから、1996年8月に持田香織、伊藤一朗とともにEvery Little Thingとしてシングル「Feel My Heart」でデビューする。グループではリーダー兼サウンド・プロデューサーとして、初期の大半の楽曲で作詞・作曲・編曲を担ったことが大きい。
90年代後半J-POPの手触りを決めたプロデュース感覚
五十嵐充の仕事が日本音楽史の中で重要なのは、Every Little Thingを単なるヒットユニットで終わらせなかった点にある。「Dear My Friend」「For the moment」「出逢った頃のように」「Time goes by」などに通じるのは、当時のエイベックスらしい打ち込みの鮮やかさと、歌謡曲的な哀感を両立させる設計だ。派手なテンポ感を持つ曲でもメロディは過剰に軽くならず、逆にバラードでは余白を残して歌を立たせる。そのバランス感覚が、TK以後のJ-POPが多様化していく局面でELTを独自の場所に押し上げた。2000年3月に本人は作曲・編曲・プロデュース業へ専念するためグループを離れるが、初期ELTの輪郭は今なお五十嵐の仕事として聴き取れる。
今日聴くなら
今日はまずデビュー曲「Feel My Heart」から入るのがいい。90年代後半J-POPのスピード感ときらめきが凝縮されている。次に「Time goes by」を聴くと、五十嵐充が単なる打ち込み職人ではなく、長く残るメロディを書く人だったことがはっきりわかる。さらに「出逢った頃のように」を並べれば、ポップさと切なさを同時に走らせる手腕も見えてくる。5月17日は、Every Little Thing初期の名曲群を通して、五十嵐充が90年代J-POPに刻んだ質感そのものを聴き返したい日だ。