5月16日は、ささきいさおがアニメソングを主役の歌に押し上げた歩みを思い出す

5月16日は、ささきいさおがアニメソングを主役の歌に押し上げた歩みを思い出す

5月16日は、ささきいさおの誕生日。日本のポップカルチャーを振り返ると、アニメソングが「子ども向けの添え物」ではなく、作品の世界観そのものを背負う歌として広く届くようになった転換点がいくつもある。その流れの中心にいたひとりが、ロカビリー歌手として出発し、俳優や声優も経験しながら、アニメソングの代表的な声になっていったささきいさおだ。

1942年5月16日、ささきいさおが生まれる

ささきいさおは1942年5月16日、東京都目黒区生まれ。1960年に日本コロムビアから「本命はお前だ」でロカビリー歌手としてデビューし、「和製プレスリー」の呼び名でも知られた。その後は俳優や吹き替え、声優の仕事も重ね、1972年には『科学忍者隊ガッチャマン』でコンドルのジョー役を担当。さらに1973年、『新造人間キャシャーン』の主題歌歌手に抜擢されたことを機に、アニメソング歌手としての存在感を一気に強めていく。もともとの歌手経験に、役者としての表現力と声優としての説得力が重なったことが、この人の強さだった。

『宇宙戦艦ヤマト』『銀河鉄道999』が示したスケール

ささきいさおの名前を日本の音楽史に刻んだ決定打として、やはり『宇宙戦艦ヤマト』と『銀河鉄道999』は外せない。どちらも単なる主題歌ヒットにとどまらず、作品の壮大さやドラマ性を、歌そのものが先導していく感覚を多くのリスナーに植えつけた。低く太い声でまっすぐ押し出す歌唱は、当時のアニメソングのイメージを拡張し、子どもだけでなく大人の耳にも届く“作品音楽”としての格を与えたと言っていい。水木一郎、堀江美都子らと並んで黎明期を支えた功績は大きいが、その中でもささきいさおは、ロマンや哀愁、英雄性を一曲の中で同居させる力が際立っていた。

今日聴くなら

今日はまず「宇宙戦艦ヤマト」を聴きたい。イントロの時点で物語が始まるあの高揚感は、今聴いても圧倒的だ。続けて「銀河鉄道999」に進むと、広い宇宙へ向かう憧れや寂しさまで歌に乗せられる人だったことがよくわかる。もしもう一歩たどるなら、『新造人間キャシャーン』の主題歌も面白い。5月16日は、アニメソングが日本の大衆音楽の中で確かな居場所を持つまでの歩みを、ささきいさおの声から聴き直したい日だ。