5月15日は、常田大希の越境する音楽感覚がJ-POPの景色を塗り替えたことを思い出す

5月15日は、常田大希の越境する音楽感覚がJ-POPの景色を塗り替えたことを思い出す

5月15日は、King Gnuとmillennium paradeの中心人物・常田大希の誕生日。近年の日本のポップミュージックを振り返ると、ジャンルの境界をまたぐこと自体がひとつの当たり前になってきたが、その流れを強い説得力で前に進めたひとりが常田大希だ。ロックバンドのダイナミズム、クラシック由来の構築性、ヒップホップ以降のビート感覚を同じ画面に置けることを、彼は作品ごとに証明してきた。

1992年5月15日、常田大希が生まれる

常田大希は1992年5月15日、長野県伊那市生まれ。5歳からチェロを学び、東京藝術大学音楽学部器楽科チェロ専攻に進学したのち中退した。2013年にSrv.Vinci名義で活動を始め、メンバーチェンジを経て2017年にKing Gnuへ改名。さらに2019年1月にはアルバム『Sympa』でメジャーデビューを果たし、同年にはmillennium paradeも本格始動させた。クラシックの素養を持ちながら、最終的に向かった先が“閉じた専門性”ではなく“社会と接続するポップ”だったところに、常田の面白さがある。

J-POPの更新を体感させた存在

King Gnuが広く浸透した理由は、単に洗練されているからではない。常田が書く楽曲は、難解さを飾りとして使わず、メロディの強さや言葉の引っかかりをきちんとポップの中心に置いている。そのうえで、バンドアンサンブルにはブラックミュージックや現代的なビート感覚、映像的なスケール感が混ざり、従来のJ-POPの文法だけでは回収しきれない響きを作ってきた。millennium paradeで見せる実験性、米津玄師「KICK BACK」やSixTONES「マスカラ」など外部仕事での存在感まで含めると、常田大希は“バンドマン”という枠だけでは足りない。2010年代後半以降の日本の音楽シーンで、越境する感覚そのものをメインストリームに押し上げた立役者のひとりと言っていい。

今日聴くなら

まずはKing Gnuの『Sympa』を通して聴きたい。2019年のメジャーデビュー作でありながら、すでに彼らの方法論がかなりはっきり刻まれていて、バンドの攻めた感覚と大衆性が同時に鳴っている。そのあとに「白日」や「飛行艇」、さらにmillennium parade名義の作品へ進むと、常田大希が一つの成功パターンに留まらず、音の輪郭を何度も塗り替えてきたことがわかるはずだ。5月15日は、日本のポップスがどこまで自由に混ざり合えるかを体感させた作り手として、常田大希の仕事をあらためて聴き返したい。