3月15日は、カヒミ・カリィの誕生日から渋谷系の軽やかな越境感を聴き直す

3月15日は、カヒミ・カリィの誕生日。1990年代の日本のポップカルチャーを振り返るとき、渋谷系という言葉と一緒に彼女の名前が浮かぶ人は多いはずだ。フレンチポップ、ボサノヴァ、ラウンジ感覚を軽やかに横断しながら、日本のインディー/ポップスに独特の空気を持ち込んだ存在として、いま聴き返してもやはり面白い。
3月15日に生まれたカヒミ・カリィと渋谷系の時代感
カヒミ・カリィは1968年3月15日生まれ。1990年代に渋谷系シーンを代表するひとりとして注目され、小山田圭吾や高木完ら周辺クリエイターとも交差しながら独自のポジションを築いた。日本語ポップスが英米ロックだけでなく、フランスのイェイェや映画音楽、ラウンジ、ボッサなどを自然に参照し始めた時代に、彼女のウィスパーボイスと洒脱な世界観は非常に象徴的だった。渋谷系を単なる流行語ではなく、都市文化とレコード趣味の混線として感じさせたアーティストのひとりと言っていい。
軽やかさの裏にある編集感覚の鋭さ
カヒミ・カリィの魅力は、かわいらしさや異国感だけではない。多様な音楽語彙を、気負わずポップとして成立させる編集感覚の鋭さにある。コーネリアス周辺とも響き合うミニマルなセンス、60年代ポップへの愛着、ファッションやアートとの親和性が一体になり、当時の日本のリスナーに「音楽を聴くこと」そのもののスタイルを提案していた。90年代の東京カルチャーを語るうえで、彼女の作品は街の空気まで含めて記録している点が大きい。
今日聴くなら
今日聴くなら、まずはアルバム『LARME DE CROCODILE』あたりから入ると、カヒミ・カリィらしい浮遊感とポップネスのバランスがよくわかる。あわせて初期の代表曲群を辿れば、渋谷系が単なる懐かしさではなく、越境的な参照感覚そのものだったことも見えてくる。3月15日は、カヒミ・カリィの誕生日をきっかけに、日本のポップスがどんなふうに世界の音を自分たちのセンスへ翻訳してきたのかを聴き直す日にしたい。