3月11日は、UAという唯一無二の歌声が生まれた日を振り返る

3月11日は、UAという唯一無二の歌声が生まれた日を振り返る

3月11日は、歌手UAの誕生日です。1990年代以降の日本のポップスをたどるうえで、彼女の声はジャンルの境界を軽々と越えていく象徴のひとつでした。

イベントの概要

UAは1972年3月11日生まれの歌手です。1990年代半ばに登場し、ソウル、R&B、クラブ・ミュージック、ロック、フォーク的な感触まで横断しながら、日本のポップスのなかで独自の位置を築いてきました。特定の流派に収まりきらない歌声と存在感は、当時の東京のクラブ・カルチャーやオルタナティブな空気とも強く結びついていました。メインストリームに届く親しみやすさを持ちながら、音の手触りや身体感覚では常に少し先を行っていたところがUAの面白さです。

作品・アーティストの意義

UAの重要さは、“上手い歌”や“売れる歌”という基準だけでは測れない、声そのものの説得力にあります。1990年代の日本の音楽シーンでは、渋谷系、クラブ・ミュージック以後の感覚、オルタナティブなバンド文化などが交差していましたが、UAはそのあいだを独自の重心で歩いた存在でした。歌詞の言葉を音として立ち上げる力が強く、ビートのうえでも生楽器のうえでも、自分の体温を曲の中心に置ける。後続の女性シンガーの表現にも、ジャンルより声の個性を前面に出す発想を広げたアーティストと言えます。

今日聴くなら

まず聴きたいのは「情熱」。UAの声が持つ野性味とポップさの両方がよく表れた代表曲です。さらに『11』や『Ametora』の時期を聴くと、彼女が単発のヒットにとどまらず、作品ごとに表現を広げてきたことがわかります。3月11日にUAを聴くと、日本のポップスが“声の個性”によってどこまで自由になれるかをあらためて感じられます。